2007年02月22日

Metal:A Head Bangers Journey

※文中のリンクは全てyoutubeです。

metaldvdmovie.jpeg

「ヘビーメタルは何故嫌われるのか?」を探るドキュメンタリー映画。
メタルファンの監督が世界中を旅していろんなミュージシャンや
ファンにインタビュー。その謎を解明しようとする。

思うに、謎なんてのは最初から何もなくて、ヘビーメタルは(かつては
別の種類の音楽がそうだったように)自分を抑圧する親やら
学校、社会に反発する若者が好む音楽だから嫌われる。
反抗される側が嫌うのは当然だろう。
しかも、映画でも明らかにされているようにファンは連帯し易い。コアな世界ができる。非秋葉系おたくの一種だろう。
独特の世界があり、入り込みにくい。そういう集団は鬱陶しかったりする。

で、映画は続く。
「ヘビーメタルは何故嫌われるのか?を探る」は多分出資者への企画書の
売り文句であり、真の目的は、映画製作にかこつけてミュージシャンたちと
会いたい話したい、なんだと思う。
途中、これに気付いた僕は監督に俄然感情移入する。
映画も次第に「おれはこんな人と会ったぜ!」的監督の自慢話に
なっていく。
で、僕は素直に羨ましかったりする。

アイアン・メイデンのボーカリスト、ブルース・ディッキンソンの
貫禄と語る内容のカッコ良さ。
意外と(失礼)知的なスリップノットの連中。
トニー・アイオミが語る「悪魔の音階」を使ったリフの秘密。
本当に背が低くてびっくりのロニー・ジェイムス・ディオが語る
メロイックサインの起源。


監督は北欧まで行く。
そこには教会の焼き討ちまでしちゃうようなブラック・メタルの連中がいる。
メタルの歌詞には死やら悪魔やらが登場するものも少なくない。
しかし大部分は商売道具だ(と思う)。
しかし、ブラック・メタルの一部は本物(らしい)。
彼らへのインタビューでは監督も言葉が少ない。

監督、もうオトナだから、メタル的悪は偽悪であることは
十分承知。なのにバイキングの末裔を自認する彼らは、
本気の反キリスト。
※実際は、様々な思想に基づくらしい
監督「うーん、わからん」で終わらせるしかない。

これは微妙なのだけど、メタルは社会悪ではないことを
世間に知らしめようと思ったら、全てはショーであることを
明かさねばならない。
しかし監督にとってそれは本意ではない。
メタルがまとっている鎧が大好きだから、それを自分の映画で
剥がすことはやっぱりできない。
途中、スレイヤーのメンバーに「偽悪疑惑」を追求する
場面があるが、質問も編集も中途半端。
(このあたり、プロレスファンの心理とまったく同じだ)

20年ほど前「メタル・イヤーズ」という映画があった。
ドキュメンタリーで当時のバンドやファンの様子を撮ったものだ。
こっちは構成や編集にヘビーメタルへの悪意が感じられた。
ミュージシャンやファンは敗者して描かれていたように思う。
(それは悪意というよりは真実だったのかもしれない)

それに比べると、メタルファン丸出しの監督が嬉々として
レポートするこの映画は、どうも捨て置けないのである。
何の結論も出ず、これといったメッセージも持たない
この映画、ドキュメンタリーとしてはなんとも中途半端なんだけど
くだらん!と言いながらまた観ちゃうような気がする。

映画の中であるミュージシャンが言う。(内容うろ覚えですが)

「ヘビーメタルファンにとって、あの夏はスレイヤー
 好きだった、なんてことはない。
 スレイヤーが好きになったらずっと好きなままだ」

ちょっと爽快な台詞である。

ブルースやジャズは、自己探求の音楽ではないかと思う。
ヘビーメタルは自分を自分ではない何者かにしてくれる/ここでは
ないどこかへ連れて行ってくれる音楽だと思う。
言ってみれば逃避。

中学生以来ずっと逃避しているのか、僕は。
何から逃避しているのかというと……
あまりにも月並みで恥ずかしいから書かぬ。
posted by bakune at 05:08| Comment(8) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
僕はbさんやZさんmさんのメタル話を聞いてるうちに、
最近やっと謎が解けたような気がします!

メタル=時間無制限1本勝負
なのに60分で4セット!!

みたいな感じでしょうか???

多分、隠されたところに素晴らしい筋書きが有るのでしょうね・・・・
Posted by Wolfey at 2007年02月22日 05:21
>多分、隠されたところに素晴らしい筋書きが有るのでしょうね・・・・

どっちもファンタジーがあります。
どんなに現実的なことをやっていても
本当のところはわからぬ!みたいな。

叶姉妹は非常にメタル/プロレス的な存在なので、あまり裏側は見せないで欲しいです(時事ネタ・笑)
Posted by bakune at 2007年02月22日 16:17
> 映画の中であるミュージシャンが言う。

ロブゾンビさんは本作中、
いかに気の利いた事をいうか?
だけを気にして喋っているようですらありますが、
この「あの夏スレイヤー」発言は
見事に決まっています。カッコイイ。

でも、ぶっきらぼうさの中にどうしても
英国人的ウィットが滲んでしまう
イアンキルミスター氏には
ちょっと適わない感じでしたね。
Posted by ターこう at 2007年02月22日 18:23
>スレイヤーが好きになったらずっと好きなままだ
そうなんです!!!
疎遠になることはあっても、けして嫌いにはならない。
そして、好きなバンド、アーティストがどんどん増えてく(笑)(僕だけ??)
Posted by toshi at 2007年02月22日 20:00
>ヘビーメタルは自分を自分ではない何者かにしてくれる/
>ここではないどこかへ連れて行ってくれる音楽だと思う。

こくっ こくっ(うなずき)。

まったくその通りだと私も思います!
その意味ではクラシック音楽も同じであるような気がします。
どちらも人に作用する力が強烈な音楽だなあ、と感じています。
Posted by gym at 2007年02月23日 00:13
メタルを聞かない人達からすると多分みんな同じように聞こえるのかもしれないけど、こだわって聞く範囲って意外に狭かったりします。
3年位前、楽器をいじらないメタラーとよく話していて、毎月10枚くらいCD買っていた事が有りました。
そこで気づいたのは、様式美と言われるジャンル以外はあまり興味がわかないということ。
まずギターが気に入らないとダメ。
だから音楽好きと言うより、やはりギター好きなんですね。

私は「あの夏のリッチー」ですね。(笑)
Posted by ZONE at 2007年02月23日 01:48
■ターこうさん
>ロブゾンビさん
素で出てきちゃうんだもんなあ。

確か1枚聴いてピンとこなかった気がするけど
この発言の後だと好感度が増して気に入るかも
しれません。

>イアンキルミスター氏には
>ちょっと適わない感じでしたね。
佇まいだけだと、あの人、人類最強かもしれません。
酔っているようにも見えましたが。
女子の話する時、楽しそうだったのが僕的意外。

■tohiさん
>好きなバンド、アーティストがどんどん増えてく(笑)(僕だけ??)
みんなそうなんじゃないでしょうか。
ミュージシャン自身もそうなんだと思います。
だからソロアルバム聴くと裏切られた
気になることが多いです(笑)
Posted by bakune at 2007年02月23日 02:40

■gymさん
>こくっ こくっ(うなずき)。
お、なんかうれしい(笑)

>その意味ではクラシック音楽も同じであるような気がします。
>どちらも人に作用する力が強烈な音楽だなあ、と感じています。

おそらく生活環境なんかで、感じ方は異なるのだと思いますが
大いなる魔力を持っていますよね。
単に音がデカイというだけかもしれませんが(笑)

■ZONEさん
>だから音楽好きと言うより、やはりギター好きなんですね。
なるほどー。
僕はヘビーメタルの様式を守っているものなら大抵好きです。
様式っても様式系の様式じゃなくて……って、ややこしい……。

最近……もう10年か……は、チルドレン・オブ・ボドムが
かなり理想に近いです。

>私は「あの夏のリッチー」ですね。(笑)
わかります(笑)
一時期、世間ではリッチーと言えばザンボラでしたが
今は誰なんでしょうね。
コッツェン……それはないか。
やっぱり今もブラックモアか。

Posted by bakune at 2007年02月23日 02:41
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